皆さま、こんにちは。
安眠道鍼療院です。
当院はおかげさまで、開業12年目、そして吉祥寺に移転して9周年を迎えることができました。
日頃よりご来院いただいている皆さまには、心より感謝申し上げます。
いつもありがとうございます。
毎年、周年の節目にこうしてコラムを書かせていただいておりますが、なんだか毎回似たような内容になってしまう気もしておりまして……。
そこで今回は、少し視点を変えて、最近いただいたご相談や、鍼灸を志す方との関わりを通じて感じたことなどを綴ってみようと思います。

【最近増えているご相談】
最近は、さまざまなご相談をいただく機会が増えてきました。
まあ、一応10年以上この仕事を続けておりますので、少しでもお力になれたらという思いで、できる限り丁寧にお応えしております。
先日も突然メールで、
「どうしたら貴院で雇っていただけますでしょうか!?」
というお問い合わせがありまして……。
ただ、当院の施術を受けたことも、面識もない方だったため、丁重にお断りさせていただきました。
実はこのようなご連絡、意外と少なくないんです(笑)
もちろんご縁があることは嬉しいことですが、まずはご自身で体験され、当院の方針や施術に共感していただいたうえでお話をいただければと思っております。
たとえば、飲食店やアパレルショップに例えてみても、
「行ったこともなく、着たこともないのに働かせてください!」
と言われたら、不思議に思いますよね(笑)
【鍼灸学校への進学を考える方々】
最も多いご相談は、
「鍼灸の学校に行きたいのですが、大丈夫でしょうか?」
というものです。
鍼灸師を目指したいという気持ちは、とても素晴らしいことだと思います。
ただ、“大丈夫かどうか”はご本人次第。
勉強するのも、学ぶのも、最終的に選択するのは自分自身です。
とはいえ、もともと当院の患者さまで、その後「鍼灸を学びたい」と思ってくださった方については、少なからず影響を与えられたことに責任を感じ、できる限りのサポートをさせていただいております。
そんな中のひとり、Mさんも今や鍼灸学校3年生。
来年の国家試験に向けて、日々勉強と当院での研修に励んでいます。
最初は不安そうだった彼女も、今では立派な“未来の鍼灸師”。
どうか体調に気をつけて、最後まで頑張っていただきたいものです。
【後輩、誕生!?】
今年からご縁があって通ってくださっている患者さまの中にも、
「実はこの春から鍼灸学校に通い始めたんです!」
と突然告白された方がいらっしゃいました。
最初は電子カルテを見ながら、
「へぇ〜、そうなんですね〜……えっ!?今なんて??」
と二度聞きしてしまいました(笑)
働きながら学ぶのは難しい…と諦めかけていたそうですが、当院での施術を通じて「やはり鍼灸師になりたい!」という思いが強くなり、思い切って進学されたとのこと。
この“行動力”、本当に素晴らしいです!
【鍼灸師に必要な“センス”とは】

その方からもよく聞かれるのが、
「センスは必要ですか?」という質問。
正直に言えば、“必要”です。
ただし、ここで言うセンスとは「手技のセンス」だけでなく、
「人とのコミュニケーション力」の方がずっと重要だと感じています。
些細な会話の中に「覚えてくれていたんだ」と思ってもらえるひとことを添えられるかどうか。
それが信頼関係につながり、施術の効果にも影響してくると私は思っています。
【今の鍼灸業界とこれから】
これからの鍼灸業界は、より厳しい時代に入っていくと思います。
広告は大手企業が参入し、情報が飽和し、国家資格の有無もわかりにくくなっています。
以前のように、HPを作ってチラシを配れば…という時代ではありません。
Googleの検索表示でも、クリニックや病院が優先され、鍼灸院は埋もれてしまう。
そんな時代です。
でもだからこそ、“本物”の技術と信頼が問われていくと思います。
私自身も、引き続きしっかりと鍼灸と向き合っていきたいと思っています。
【鍼灸だけで食べていけますか?】
これは毎年、何度も聞かれる質問です。
ただ、答えはひとつではありません。
「自分一人が生活できれば良い」という人もいれば、
「家族を養い、休みもあり、旅行にも行ける」ライフスタイルを求める人もいる。
要は、どこを目指すか。
現在の療術業界では、5年以内に約35〜40%が廃業とも言われ、継続率は5%ほど。
だからこそ、「自分の幹」をしっかり作ることが何よりも大切だと感じます。
【これから鍼灸師を目指すあなたへ】
・良い先生を見つけること。
・基礎医学(解剖・生理)を徹底的に学ぶこと。
・鍼灸を“好き”でいること。
・“覚悟”を持つこと。
この4つがあれば、きっと乗り越えていけます。
誰かと比べる必要はありません。
自分のペースで、しっかり続けることが一番大切です。
【最後に】

学生時代、私も優秀ではありませんでした。
でも、基礎の勉強だけは誰よりもやったと胸を張って言えます。
行き詰まったときは、ちょっと息抜きしてもいい。
私も3年生の春には、勉強のしすぎで気持ちが悪くなり、午前中から寿司屋でビールを飲んだこともあります(笑)
それでも、今こうして9周年を迎えられたのは、応援してくださる皆さまのおかげです。
これからも“正統な鍼灸”を志し、皆さまと一緒にこの業界を盛り上げていけたらと思います。
どうか今後とも、安眠道鍼療院をよろしくお願いいたします。
