日々の寒さから身体に力が入ってしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の鍼職人コラムは、
こんな時期には特に気をつけて欲しい「ぎっくり腰」についてです。
では簡単に見ていきましょう。
【目次】
・腰痛は国民的な悩み!?
・ぎっくり腰とは何か?
・ぎっくり腰の原因は!?
・ぎっくり腰の予防について
・ぎっくり腰の予防ストレッチ
・ぎっくり腰になったら……?
・最後に
腰痛は国民的な悩み!?
皆さんの周りにも、実は「ぎっくり」やっちゃってさーとか、
この前「ぎっくり腰」になっちゃってとか言っている方、結構多くないでしょうか?
なんたって、前回のコラムでも紹介しましたが、
厚生労働省によると、男女ともに身体の不調ベスト1,2の中に、「肩こり・腰痛(男性の3位は鼻症状 女性では関節痛)」であるという事から、普段から腰に痛みやその他何らかの症状に悩まされている方が沢山いらっしゃる事が分かります。
関連コラム:/column/entry/post-31/#more
ただでさえ辛い腰痛の中でも、急に襲ってくるあの「ズキン!」「ギクッ!」とした痛み…
そうあれは兎に角辛い!
その辛い原因と対策、また予防法を解説していきます。
ぎっくり腰とは何か?
そもそも、この「ぎっくり腰」とはいったい何なのでしょうか!?
実は「ぎっくり腰」とは症状であり、疾患名ではありません。
正式には「急性腰痛症」とか「腰椎捻挫」、「外傷性腰痛」などと言われておりますが、
今回「ぎっくり腰」で統一してお話をしていきます。
(因みに「むち打ち」は「頚椎捻挫」と言います)
海外ではこのぎっくり腰を「魔女の一撃」と言われ英語でもその名の通り「Witch’s Shot」ととも呼ばれている様で、
もう全世界的にこの「ぎっくり腰」の衝撃は共通のようですね。
ぎっくり腰の原因は!?
聞くだけでも物凄く痛そうなぎっくり腰ですが、起きるタイミングも様々です。
・膝を曲げずに重い物を持ってギクッ!
・下に落ちた物を拾おうとしてギクッ!
・朝顔を洗おうとしてギクッ!
・急に振り向いたり急な体勢を変えてギクッ!
・最悪、くしゃみをしてギクッ!
などなど、少し挙げただけでもこんなに出て来ます。
この前に来院された方は「洗濯物を洗濯機から取り出す時にギクッ!」となったそうで辛そうに来られました。
そんな様々な原因から腰の筋肉などに損傷が起こり、あの経験したら忘れる事の出来ない痛みと不便極まりない生活を余儀なくされる「ぎっくり腰」
では、なぜぎっくり腰は起こるのでしょうか!?
私が診ている限りで言えば、まずは何と言ってもやはり血行不良により腰の柔軟性が失われる事が第一のような気がします。
同じ姿勢に冷えも加わり、そこに疲労物質がプラスされ、血流も悪くなり柔軟性が失っている所に、急に力が加わったところキャパがオーバーしてしまい「ギクッ!」と。
よく「今まで腰痛とは無縁だったのですが、今回急にぎっくり腰になってしまいまして…」
と言われてくる方がおりますが、実はそんな事は無く自覚症状が無かっただけで、
日々の生活の中において十分腰に無理がかかっている為、既に「種火」の様な物は発生している筈なのです。
その種火が急な力によりボッと延焼起こす様なイメージですね。
ぎっくり腰を予防しよう!
次に魔女の一撃(ぎっくり腰)から身を守る予防法を見ていきます。
必須な事はしつこい様ですが普段から腰回りは勿論身体を「冷やさない事!」腹巻を使用したりカイロを貼ったりそして、湯船にもしっかりと入る事。
一にも二にも「血流を良くする」事です。
我々日本人は“世界で一番座っている時間が長い”そうです。
これに加え、骨盤が欧米人よりも「後傾」している為、どうしても「猫背」になりやすいのと言われます。
正しい姿勢を取り戻す為にはしっかりと大股で手を振りながら歩く事を心掛けてください。
そうする事で、しっかりとお尻の筋肉が発達していき、丈夫な足腰を維持出来る様になります。
特に女性は補正下着など着用するよりもこの「大股・早歩き・大手振り」をやると“バランスの良いスタイル”が維持出来ますよ!
ぎっくり腰の予防ストレッチ
オットセイストレッチ
やる事は簡単、うつぶせになり顔の脇に両手を置き肘も床につけて、そこから上体を起こし腰を反らせるストレッチです。
【Point!】
ゆっくり息を吐きながら腕を伸ばし、おへそが床から離れる位がベスト!
1分キープから始めて目標は3分!一日3回ほどがベストです。
ネコストレッチ
正座して両腕を前に伸ばしながら上体を倒し、背中と腰を伸ばしていくストレッチ。
1分キープで一日3回ほどでOK!
【Point!】
腰を丸めるイメージで!慣れるとお腹にクッションなど挟むとより深くストレッチがかかります。
(いずれも無理のない範囲で行ってください)
ぎっくり腰になったら……?
それでもあの忌まわしき「ぎっくり腰」に見舞われたら!?
まずは、一度落ち着きましょう。
慌てて動くと痛みで身動きが取れなくなります。
熱感がある場合には少し10分~15分ほど冷やすのも効果的です。
よく間違えるのは、直後お風呂に入って悪化させるタイプ。
炎症しているにも関わらず温めるのは火に油ですので注意してください。
因みに温泉などの効能でも「腰痛(急性は除く)」と書いてある理由はこれです。
それからは、動ける様であれば極力動く事です。
以前はぎっくり腰になると安静が第一でしたが、
近年は出来る範囲で動く事が早期の回復に繋がるとの見方がスタンダードです。
あとは早期治療です。
痛めたら何でも早期に治療するのが一番の早道です。
我々鍼灸でも、直後から鍼とお灸を使い痛みを取り除いていき、
新鮮な血液を豊富に患部に巡らせる事により、損傷部位の早期修復を図ります。
最後に
実は我々治療に携わる人間も「腰痛持ち」が多いのです。
ある外科の先生も言っておられたのですが、彼らも腰痛持ちが多いそうです。
立ちっぱなしの長時間の手術で腰がかなりやられるからだと聞きました。
何を隠そうこの私も腰痛持ちで、定期的にケアを入れております。
それでも、ハードな状況が続くとたまに「魔女が到来」します。
そんな時にはすぐに同業の後輩を呼びガッツリ鍼灸治療をやって貰います。
大体次の日には普段通りの生活が出来る様になりますので、やはり早期治療は重要であると経験上、声を大にして言えるのです!
皆様も年末年始、身体が冷えた状態でくれぐれも急に動いたりしない様に気をつけてくださいね。
参考資料:脊柱管狭窄症は自分で治せる! Gakken
腰鍼 角川oneテーマ21