今回は皆さんどなたも御存じの「花粉症」について簡単にみていきましょう。
花粉症とは何か?アレルギーとは何か?
そしてなぜ起こり、セルフケアなどはあるのか?
など少しでも皆さんがイメージできるようになりましたら幸いです!
では、始めて行きましょう・・・
【目次】
・花粉症の種類
・アレルギーとは?
・花粉症はなぜ起こる?
・花粉治療と対策
・まとめ
花粉症の種類
花粉症・・・もう聞くだけで眼や鼻がかゆくなる様な感じになる方もいらっしゃるのではないでしょうか!?
代表的なものは皆さんご存知の「スギ花粉」でしょうが、
2~4月はスギ、4~5月はヒノキ、6~8月はイネ科花粉、8~10月はブタクサ、ヨモギなど(地域により時期は異なります)。
しかも、日本には約50種類の植物が花粉症を引き起こすとも云われ、そのうちスギは約70%とされています。(国土の約12%がスギ林)
これらを見ても約一年の半分以上は花粉で悩んでいる方がいると云う事になります。
では、なぜ花粉症になるのか?アレルギーって何か!?
など今回はまたこれらを簡単にみていきましょう!
アレルギーとは?
本来無害なある物質に対して、免疫が過剰に反応して身体に害を与えてしまう事を“アレルギー反応”と云います。
因みに、花粉や蕎麦などアレルギーを起こす物質を“アレルゲン”と云い、現在は約1億もあると云われています。
また、アレルギーはⅠ~Ⅳ型まであり、花粉症はⅠ型アレルギーになります。
この“アレルギー”の語源は、ギリシャ語の(変わった、奇妙な)という意味の“アロス”と(作用、反応、力)などの“エルゴン”を組み合わせて出来た造語です。 花粉症はというと、もうお分かりの通り花粉により、眼や鼻の粘膜で起こるアレルギー反応と云う事ですね。
因みにこの反応が気管支で起きれば「気管支喘息」、皮膚で起きたら「アトピー性皮膚炎」などと云う事になります。
花粉症はなぜ起こる?
我々の免疫細胞のひとつである“B細胞”等が花粉を感知して2種類の免疫細胞、ヘルパーT細胞達に報告!
しかしその2つのヘルパーT細胞(1型ヘルパーT細胞・Th1と、2型ヘルパーT細胞・Th2)が何らかによりパワーバランスが乱れ、Th2が優位になると、B細胞に異物を捕まえる為の抗体の発射命令(サイトカイン インターロイキン4)を出しB細胞が抗体「IgE」を発射!
それを今度は“マスト細胞(肥満細胞)”がキャッチ!その抗体をガッチリつかみ今度から、花粉が来るとどんどん拾うようになります
(ちょうどアメリカザリガニのハサミみたいな感じで)。
そして、そのマスト(肥満)細胞が皆さんCMなどで聞いた事があるかと思いますが、「ヒスタミン」という化学伝達物質を持っていて、このヒスタミンを大放出!
すると、ヒスタミンが眼や鼻の粘膜に着地!(ヒスタミン受容体)。
この着地する所はちょうど鍵と鍵穴の関係で、ヒスタミン以外は受け付けません。
この着地の刺激により、異物を排除しようとする為に(免疫反応)あのしつこい「くしゃみ・眼のかゆみ」として現れるのです・・・
因みに鼻づまりは、鼻粘膜が化学伝達物質によって浮腫んだ状態です。
もっともっと簡単にいうと・・・
Bさんには2人の上司「Th1」さんと「Th2」さんがいます。
そのふたりが・・・まあ仲悪い!同期と云う事もあり、ライバル心むき出しで、常に足をひっぱり邪魔をしあっています。
今回はたまたま、Th2さんの指示で得意先マスト社に出向き、資料「IgE」を持ちある契約を交わしました。
マストさんは大喜びで資料を熟読して、こちらの予想以上に大張りきり!どんどん自社の製品「ヒスタミン」を大放出!
しかし、何らかの伝達ミスでこちらのヒスタミン専用倉庫はもうパンパンで会社は大混乱!非難ごうごう大炎上!!
涙なみだの状況で、にっちもさっちもいかない状態に陥ってしまいました・・・
といったところでしょうか?
もう何だか、鼻や眼がムズムズされている方がいらっしゃるのではないでしょうか(笑)!?
近年、増加傾向の花粉症。
環境省によると2008年時点で、花粉症の患者は全国約29,8%
で、10年前よりも10%増という事ですので、現在2017年ではもっと患者数は増えていると思われます。
花粉治療と対策
では、この花粉症のケアと今後の対策などはどの様なものがあるのでしょうか!?
西洋医学・現代医学では代表的なものは花粉の抽出液の濃度を調節しながら注射し、
花粉に対する免疫を獲得する「抗原特異的免疫療法(減感作療法)」などの免疫療法がありますが、東洋医療・伝統医療ではどうでしょう?
千葉大学大学院医学研究院の岡本美孝教授のデータによると、アレルギー性鼻炎の患者さん6679名調査では約50%の方が漢方の効果を、
そして約44%の方が鍼の効果を感じているとされています。(未記入除く)
また、先日大動脈解離により急逝された免疫学の大家、新潟大学大学院の安保徹先生もアレルギー疾患には鍼治療が非常に有効だとおっしゃっておりました。
鍼治療では様々なツボ、印堂(いんどう・左右眉の中心)を使い鼻の通りをよくしたり、百合(ひゅくえ・ちょうど脳天)を刺激して鼻と共に気分や頭の重さを改善させたりよくしますが、まず当院では自律神経バランスの乱れを改善する事を主眼においております。
アレルギーが激しい場合には副交感神経過剰優位の傾向があると云われていますので、しっかり交感神経(アクセル)と副交感神経(ブレーキ)のバランスを整える事がとても重要です。
これにより、腸内環境の改善や血行の改善、情緒の安定等を図り軽減改善させていきます。
またセルフケアでは、やはり粘膜を保護する事、つまりマスクとネガネです。
ポイントは花粉症用に作られたものを使用する事で、鼻で約1/6以上、眼で約1/3花粉をカットするというデータも発表されていますので、
是非使って頂きたいと思います。
あとは、掃除の際最初に乾拭きをしてから雑巾がけをする事で花粉がよりしっかりと拭きとれますので両方お試しください。
食生活ではやはりバランスのとれた食事!前述の免疫細胞達もエネルギーはアミノ酸。
つまり、良質のたんぱく質をしっかりと摂りましょう。
また、臨床においてはアレルギーで悩まれている方々は往々にして便秘や軟便、下痢など「腸内環境が乱れている」事が多くみられます。
免疫の約70%以上は腸内で作られますので、その事からもしっかり乳酸菌を摂り腸内の環境を整えましょう!
手軽なのはやはり「ヨーグルト(プレーン無糖)」ですが、食べる際にオリゴ糖適量入れる事でビフィズス菌が活性しますのでポイントです!
また、動物性の乳酸菌を受付ない体質の方は大豆由来の物も最近でておりますので探してみてください。
因みに余談ですが・・・
数年前に昔〇〇ヨーグルトで花粉症が治った!
などとメディアで騒がれておりましたが、あれはヨーグルトにより腸内環境が整いそこで生成された免疫が眼や鼻に飛んでいっただけと云われています・・・
あと最後に、粘膜や毛細血管を傷つける喫煙は全てのアレルギー疾患において勿論厳禁です!!
まとめ
近年花粉症の方が増加傾向だとお話ししました。
それは花粉の増加に加え自律神経バランスの乱れや食生活の乱れ、腸内環境の乱れが悪影響を及ぼしていると云われています。
しっかりと規則正しくバランスの良い食事をし、自律神経のバランスも整え腸内環境も整え身体を冷やさずに、
メタボや運動不足に気をつけていつまでも若々しく過ごしていきましょう!
【参考文献・Web】(敬称略)
萩原清文著 「好きになる免疫学」講談社
環境省 花粉症環境保健マニュアル
厚生労働省 ホームページ