今年の夏は梅雨明けがかなり早く、6月の時点で猛暑日を記録する日も多かったので、これまで以上に早期からの熱中症対策が必要となっております。
熱中症に関するニュースも毎日のように見聞きするこの時期、このトラブルは他人事ではないと危機感を持つものですよね。
今回は熱中症と自律神経にどんな結びつきがあるのか、熱中症を予防するためにできる対処法をわかりやすくお話してみたいと思います。
体質や年代にかかわらず誰にでも起こりえる熱中症、早めの対策を取るためのポイントをぜひ参考にしていただければと思います!
【目次】
・熱中症とは?主な原因や症状を解説
・自律神経の働きと熱中症の関係性を紐解く!
・熱中症予防のためにできること!
・まとめ
熱中症とは?主な原因や症状を解説
暑さが厳しい毎日、熱中症に気を付けようという気持ちはあるものの、原因や症状に関しては、未だわからない部分が少なからずあるのではないでしょうか?
ここでは熱中症がどのようなものなのか、主な原因と症状についてお話してみたいと思います。
熱中症の主な原因
熱中症とは、暑さによって体温がコントロール不能となり、体内に熱がこもってしまい身体に様々な障害を起こす事をいいます。
熱中症には、重症度に関するレベルがあります。
程度にかかわらずに放置や楽観視をしてしまうと命にかかわってしまうケースもめずらしくはありません。
1.自分自身でも予防や対処ができる重症度Ⅰ(意識正常)
2.まわりの協力やケアが必要になる重症度Ⅱ(意識ほぼ正常・救急車要請も考慮)
3.医療機関での治療が必須になる重症度Ⅲ(意識障害あり・救急車要請)
熱中症に気を付けておきたい天候について
熱中症が起こりやすい、特に気を付けておきたい天候の状態には、
・高温多湿である
・風が弱い、無風状態
・照りつける日差しが強力である
といった条件があります。
夏の始まりでまだ心身が夏の暑さに慣れていない状態では、熱中症が起こりやすいと言われています。
熱中症の主な症状
熱中症の症状は、お伝えした重症度のレベルによって細かな違いがあり、Ⅰの場合は一時的な体調不良だと楽観視して、適切なケアが遅れ、ⅡやⅢの深刻な症状に変わってしまうことがあります。
熱中症の重症度別の症状は以下のような状態があるため、予防のためにも症状を早めに押さえておくようにしましょう。
・Ⅰ:手足のしびれや立ちくらみ、めまい
・Ⅱ:吐き気や嘔吐、意識がもうろうとする、強い頭痛
・Ⅲ:過度な体温上昇による皮膚の熱感、まっすぐに歩くことができない、けいれん、呼びかけや雑音が遠くから聞こえるように感じる、またはしっかりと聞き取れない
自律神経の働きと熱中症の関係性を紐解く!
自律神経は体温を調整する重要な役割を担っているため、熱中症になると自律神経の体温調節機能が著しく乱れてしまい、さまざまな障害へとつながっていきます。
またストレスや睡眠不足、生活習慣の乱れなどがあると、自律神経の交感神経・副交感神経それぞれの働きのバランスが悪くなり、熱中症にかかりやすくなったり、自律神経失調症などの後遺症が残るケースもあります。
ここでは自律神経の働きと、熱中症との関係性を紐解いていきたいと思います。
自律神経の働きと熱中症の関係性
自律神経はご存じの通り、”体温調節”も行っている生命維持に重要な神経でした。
私たち人間の体温を「37℃」前後に保つために、寒ければまずは震えて「熱産生」を行い、暑ければ発汗を促して「体温を下げる」働きをしてくれる働き者のこの自律神経機能。
しかし近年の異常なまでの暑さではこの自律神経機能も追いつかなとくなり、熱中症へとつながるケースが年々増えています。
熱中症の軽度や初期症状のうちは、自分や周りの人たちで予防改善できるケースもありますが、発汗が激しく体内の水分が不足すると、身体は交感神経の働きで、血圧が上昇します。
更にはこの交感神経の働きで末梢血流も低下するので、熱発散が出来なくなり、重篤な状態へと悪化しやすくなります。
こんな状況では、交感神経は過度の緊張状態となり、副交感神経は働きづらくなり自分達ではどうも解決が無理な状況ですので、涼しいところ或いは風通しの良いところで、水分補給を試みながら救急車を呼ぶことです!
熱中症はなぜ高齢者が多いのか!?
運動や課外活動以外での熱中症によるニュースって、大体高齢者だと思いませんか!?
室内でエアコンを使わないとか、水分補給が十分ではないとか諸々あるとは思いますが、実は自律神経機能は60代になると20代の時の約半分まで低下すると聞いたらどう思いますか!?
ということは、「体温調節機能も低下」していくので、周りの人間が特に注意する必要があるのです。
エアコンを使用させ(最低限の使用法のみリモコン操作を覚えて貰う)、利尿効果が高いアイスコーヒーや緑茶をなるべく避けて、麦茶などを手元に置き、飲むというよりも「こまめにのどを潤す」感覚で補給してもらうなど、気を付けて生活しなくてはいけません。
熱中症予防のためにできること!
熱中症予防には、自律神経を整えておくことが根本的な対処法になります。
自律神経は、
・ストレスを溜めない、早めにケアしておく!
・良質な睡眠リズムを確立していく!
・バランスの取れた食事、適度な運動を心がける!
・深酒をしない!
という、意外にシンプルな方法でそのリズムが整いやすくなります。
ここでは自律神経のケアに合わせて、熱中症の予防にアプローチできる対処法をまとめてみました。
暑さ対策に便利なグッズを活用しよう
熱中症を未然に予防するための便利なグッズは意外に多くラインナップされています。
・着るだけでひんやり感が続く接触冷感素材のインナー
・熱中症対策の必須、水分とミネラルや塩分、適度な糖質が補える麦茶やスポーツドリンク
・常に涼しい風を送り全身のクールダウンに役立つハンディ扇風機
このようなアイテムを常備しておくだけでも気持ちが安心し、過度な不安を抱くことなく快適に酷暑を乗り切ることができるでしょう。
・あと最近は男性も増えておりますが「日傘!」もおすすめです。
で、ポイントは夏の日差しが強い時には”外側明色・内側暗色”を使用すると涼しさをサポートしてくれるようですからお試しを!
熱中症対策に良い栄養素を補う
熱中症予防にはバランスの取れた食事が基本ですが、
・体力維持、エネルギーチャージに役立つタンパク質
・体内の水分を保持すると言われているミネラル
・暑さによるストレスのケアに良いビタミンC
といった栄養成分を積極的に補うようにしましょう。
また暑い時期は食欲の低下によってスタミナ不足になってしまうこともあります。
食欲の低下が気になる際は、サプリやドリンク剤で栄養を補給したり、香辛料を使って味付けの工夫をしてみることもおすすめです。
私たちの身体は毎日の食事から作られると言っても過言ではありません。
ハードなダイエットや糖質制限などを控え、主食・主菜・副菜のバランスを考えた食事内容への見直し改善をしておくようにしましょう。
まとめ
当院の常連の方々が体験した熱中症のエピソードを2つほど最後にご紹介します。
ひとつ目は、30代男性で彼は季節問わず常に水を持ち歩いている人。
そんな人が、この前水を飲んでいるにも関わらず、移動中めまいとダルさに襲われ、慌てて近くのスーパーに避難したとの事でした。
本人は水もこまめに飲んでいたのにと困惑していたのですが、実はこの”水”が原因だったりするのです!
水を飲むと自律神経の働きで「発汗」しますよね!?
この”汗”は、「蒸発して温度を下げる」ので、東京のような多湿の土地では汗が蒸発せず、熱を身体にこもらせがちになるのです。
そして、また水を補給して汗をかくと・・・極端な話、汗が身体をコーティングしているような感じと想像して頂けたらよいでしょうか!?
併せて発汗により、「ミネラル・塩分」も失われ、それらは水だけでは補えないので、熱中症のような感じになったのだと説明して納得頂けました。
彼が悪化を防げたのは何よりも早くに異変に気付き、涼しいお店に避難出来た事!
実は長年鍼治療などでメンテナンスをしていると、体調の異変にすぐに気づく事ができるのです。
これも鍼治療が”予防医学”といわれる一端だと思います。
因みにこれの解決策は・・・
・水を麦茶かスポーツ飲料変える!
・汗をこまめに拭く!
といった事だけでも大幅に改善されます。
もうひとつは、20代女性でその日は浜辺でのPV撮影だった様で、大型のパラソルや大量の飲み物や”経口補水液”をクーラーボックスに装備して万全の態勢で臨んだのですが、やはり炎天下による長時間の撮影で、いつもよりも疲労感が強かった為に、初日は大事をとり早めに撤収。
その帰りがけに飲んだ経口補水液が「凄くおいしくて助かった!」と話していました。
この「凄くおいしい経口補水液」が実はポイントで、これ熱中症の状態なのです。
正常の状態ならば、経口補水液はやや「しょっぱく」感じるものでおいしくは...
この方の良かったところは、十分な水分と日陰を作れる環境、そして何よりも「無理せず」終えたところです。
皆さん一度体調を崩されると、復帰まで時間がかかる事を痛感している為、無理は禁物とわかって頂けるのですね。
さあ、夏はまだまだ続きます。無理せず、しっかりと栄養と安眠をとり、猛暑を乗り切りましょう!
参考:安眠道鍼療院 自律神経コラム【熱中症と自律神経の関係】
熱中症に負けないカラダづくりのメソッド
https://www.anmin-do.jp/column/entry/post-79/
市民公開講座資料2013 「今から始める熱中症対策」
http://www.saitama-med.ac.jp/lecture/materials/95-H2506-2.pdf