ようやく新型コロナウイルスの感染も少し落ち着きを見せてきた今日この頃ですが、皆さんお変わり無くお過ごしでしょうか?
今回は、最近増えて来ており、現在私の院でも診ております、「新型コロナウイルス後遺症・罹患後症状」と自律神経について簡単にお伝えしたいと思います。
最後の方に、これは今後に良い方向に行くであろうと云う事もお伝えしますので、少しお付き合いくださいませ。
【目次】
・新型コロナウイルス後遺症・罹患後症状とは!?
・コロナ後遺症・罹患後症状に対しての鍼灸治療とは!?
・今後の治療法はどうなるのか!?
・最後に
新型コロナウイルス後遺症・罹患後症状とは!?
実は当院を利用している患者さんからのお話で、後に私も詳しく知る事となったのです。
今回のコラムでは、まだまだ解明されていない部分もある症状や症例だけに、あくまでも当院の患者さん達のお話を元に、お伝えしていこうと思っております。
決してワクチンを否定、或いは現代医療を否定するお話では無い事をご理解ください。
その患者さんは、新型コロナウイルス罹患後に復帰してからも怠さや全身の筋肉痛の様な症状に悩まされていました。
元々自律神経系のお悩みで、当院に通い始めたばかりの時に新型コロナにかかり、しばらく当院の鍼灸治療から遠ざかっておりました。
定められた療養期間が過ぎても、なかなか怠さ等の症状が取れない為、心配になり、某国立の後遺症外来を受診したところ、一週間の検査も兼ねた入院となったそうです。
告げられた診断は”ブレインフォグ…”
いわゆる文字通り「脳に霧やモヤがかかった」様な症状と云う事で、記憶力の低下や脳が冴えない為なのか、身体も重だるい症状が出ると云うもの。
そこでの治療法はと云うと…「特に無い」と言いますか、そこの主治医の先生曰く「現在はその様な症状の特効薬が無いので、”鍼灸治療”とかが良いと思う」
とお話されたそうです。
その訳は、「自分の免疫バランスを整えるのが一番回復するのに良い事になると思うので、それには鍼灸治療が良いと思います」と仰られたそうです。
それからその患者さんはすぐに病棟から当院に連絡してくれて、退院後すぐに鍼灸治療を開始致しました。
https://www.mhlw.go.jp/content/000992352.pdf
コロナ後遺症・罹患後症状に対しての鍼灸治療とは!?
と、言われて引き受けたものの、いったいどうしたら良いのか私も初めての症例でしたので、正直最初は少し戸惑いました。
・猛烈な倦怠感(歩いても直ぐに疲れる)
・全身筋肉痛の様な症状
・無気力
・食欲不振
などなど…
この様な症状を全てどう解決するかと云った初めての経験…
そこでまずは脳の疲労を軽減させようと治療をしようとしたところ、「脳の血行が良くなると”ブレインフォグ”の悪化の懸念があるので、出来たら避けて欲しい…」と!?
だとしたら基本に帰り、基礎的な自律神経調整を少しずつ入れていくより他は無いので、それを開始しました。
担当医の先生曰く”免疫バランスを整える”には、まずは自律神経のバランスを整える事ですから、そちらをチョイスしたところ、良好な経過をたどり月一回の治療で、3回目ほどで時短ではあるものの出勤を再開!開始から半年後にはフルタイムで出勤再開する事となりました。
その他の方々の症状は、皆さんやはり口々に
・猛烈な倦怠感
・無気力
・不安感
をお話されます。
しかし、これも強い倦怠感があり、ハッキリした原因が分からないのですから、「不安感・無気力」等は起こるのは当然ですので、このメカニズムを説明する事を最初に行いました。
また、当院は看護師さんのご利用が多いのですが、そのうちのお一人の職場の同僚の方を紹介され、他県から治療に来ることとなりました。
医療従事者の方ですから、説明もスムーズに行き、すぐに納得して頂き、治療を開始することが出来たのが何よりで、
またその患者さんは加えて、両腕の脱力感も訴えており、診させて頂いたところ、腕は三角筋部に、腕を上げる時に負担をかけている症状を発見し、それを鍼にて除去したところかなり改善。
それにプラス、基本的治療を背部からしっかりさせて頂き、一度でご本人も驚かれるほど改善したと、紹介してくれた方からご報告を受けました。
色々と治療法を試してみたけども、効果を感じられず、「気功」にもかかったが、よくわからず都内の先述とは別のコロナ後遺症外来にかかりながら、またそこでも院長先生に「鍼灸を試してみては!?」と勧められて、同僚の方にお願いしたそうでした。
まだこの方は2回しか治療をしておりませんので、経過は引き続き別のコラムでお伝えして行きます。
今後の治療法はどうなるのか!?
実は最初に入院から鍼治療へスイッチされた患者さんですが、現在も治療中なのです。
それは、身体が元気になった為により”頑張り過ぎ”が原因で、私が常に「無理し過ぎない様にね!!」と強く言っていたのですが、去年秋から年末辺りに頑張り過ぎてしまい、また症状がぶり返してしまったというもの…
私として正直「だから言ったのに〜!」と云った感じではありましたが、そんな事を言っても仕方がありませんので、同じ様にまた治療を開始。
しかし正直な所、前回の様な手応えがあまり感じられず、良くはなって行くものの、いまいち”抜け”が無い状態。
そんなおり、並行して定期的に通っていた、例の国立の病院での治療が大いに役に立ち、倦怠感の抜け感を感じる事が出来ました!
これを維持していきたいので、鍼も続けたいんです!と報告を受けました。
で!その治療は何か!?と言いますと「抗ヒスタミン剤」を用いると云うもの。
何でも、コロナワクチン等を打った際に稀ではあるのの”ヒスタミンが過剰発生”した様な感じに似ている症状が出るとの事。
そこで花粉症などでお馴染みの「抗ヒスタミン」薬を使用する事により、症状緩和へと繋がるそうです。
これは!?と正直思いました。
まだまだ因果関係はどうなのかこれからも注視していきますが、まずは猛烈な怠さ等の症状が改善される事は、皆さんにとって明るい話題には違いありません。
最後に
私は、薬がダメ!などの考えでは勿論ありません。
必要な時にはお薬を服用する事はなんら問題無いと思っております。
大多数の方は、なるべくならお薬に頼りたく無いと云う方が多いのでしょうが、逆に飲んだ事は無い!と云う人もいないでしょう!?
必要な時にはお薬にも頼る!お腹が痛くて仕方ないのに、会議も休めないなんて状況でしたら、お腹のお薬を飲むでしょう!?
大事な試合があるが、痛い箇所がある…
と云ったら痛み止めを飲むでしょう!?
何事も臨機応変にバランスを考えれば良いのですよ。
先の医師の先生方のように「鍼灸で免疫のバランスを!」と提案してくださる様に、その都度適した対応をすれば良いのです。
余談ですが、よく「良い鍼灸師はどう探したら良いか!?」と聞かれるのですが、こればっかりは正直相性もあるので何とも言えませんが、あえて言うならば…
「現代医療を全否定」する鍼灸師は私は避けた方が良いと思います。
私たち鍼灸師は、これは専門医療機関で調べた方が良いと判別しなくてはならない症例もたくさんありますので、手遅れや後に命に関わる状況を絶対に防ぐ為にも、伝統医療と現代医療バランスの取れた鍼灸師を選んで頂きたいと思います。
■参考資料
厚生労働省Webサイト
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00402.html