最近 「やる気が出ない」「疲れやすい」「集中力が続かない」「メンタルが落ち込みやすい」 と感じていませんか?
今回の「鍼職人Kの身体のお話」では、こうした やる気低下の原因 がどこから来るのか、
そして 科学的根拠にもとづいた改善法 をわかりやすく解説します。
最近やる気が出ないのは「脳と腸」のSOS?
多くの方が悩む「やる気が出ない」「何もしたくない」「疲れが取れない」
という状態は、じつは 脳疲労・自律神経・腸内環境 と密接に関係しています。

目次
- 最近やる気が出ない原因とは?ストレスの2025年定義
- 現代人のストレス源:DX/リモートワーク世代の特徴
- やる気が出ない理由は自律神経の乱れ(ディスレギュレーション)
- 幸福ホルモン「セロトニン」を増やす科学的アプローチ
- 鍵は腸脳相関(ブレイン・ガット・アクシス)と腸内環境
- 今日からできる!やる気を戻すセルフケア(リカバリー習慣)
- 未来の自分のためにできること
- Q&A:やる気が出ない悩みについてのご質問
そもそもストレスとは? 2025年の定義

最近「ストレス」という言葉は日常に溶け込んでいますが、その意味を即座に答えられますか?
現代の心理学や医学では、ストレスとは「外部からの刺激(ストレッサー)によって、心や身体のホメオスタシス(恒常性)が乱れ、それに対応しようとして生じる心の歪みや反応」と定義されています。 この概念は、元々物理学の用語で、例えば風船を指で押した際に、内側から押し戻そうとする力、これが「ストレス」の語源です。外から押す指が「ストレッサー」と呼ばれます。
この現象を生体に当てはめたのが、カナダのハンス・セリエ博士(1936年)です。
博士は、“過度の長期的なストレッサー”が生体へ与える影響を指摘し、以下の「ストレスの3大徴候」が起こりうるとしました。
• 副腎の肥大(各種ホルモン分泌への影響)
• リンパ組織の委縮(免疫機能への影響)
• 胃・十二指腸潰瘍などの引き金
過度なストレスは、私たちの免疫・内分泌・神経の全システムに多大な影響を与えることが、今では広く認識されています。
現代人のストレス源は? DX/リモートワーク世代の課題

今を生きる私たちは、仕事、人間関係、家庭内の問題など、多種多様なストレッサーに囲まれています。しかし、2025年においては、特に以下の要因がストレスを増大させています。
- デジタル・ストレッサー(ブルーライト過多):PC、スマートフォン、タブレットによる常時接続状態(コネクテッド・ネス)と、そこから発せられるブルーライトが、脳の疲労と睡眠の質を低下させています。
- リモートワーク・ハイブリッドワークの普及:通勤ストレスは減ったものの、「仕事とプライベートの境界線の曖昧化」「雑談など非公式なコミュニケーション機会の減少」が、孤立感やセルフコントロールの難しさを生んでいます。またリモートワークの普及により、睡眠の乱れ・生活リズムの低下・運動不足 が重なり、「慢性的にやる気が出ない」状態に陥る方が急増しています。
- 社会情勢への不安:AIの進化、経済の不確実性など、未来への漠然とした不安が潜在的なストレッサーとなっています。
厚生労働省の「労働安全衛生調査」でも、仕事に強いストレスを感じる労働者の割合は、2010年代半ばには約60%に達し、その後も高止まり傾向にあります。 年々、自分をうまくマネジメントする必要性が高まっているのです。
ストレスが引き起こす“自律神経の乱れ”=やる気低下の正体

私たちの身体には、生命活動を司る自律神経系があります。
- アクセル役の交感神経(アクティブモード・闘争と逃走)
- ブレーキ役の副交感神経(リラックスモード・休息と消化)
この両者が状況に応じてバランスよく“協調”することが理想です。
しかし、長期間の過度なストレッサーに晒されると、
“交感神経が慢性的に過緊張状態”
になります。これにより副交感神経が十分に機能できなくなり、「自律神経のディスレギュレーション(機能不全)」を引き起こします。
- 常に落ち着かない感覚、イライラしやすくなる
- 胃腸の働きが鈍り、不調をきたしやすくなる
- リラックスモードになれないため、深い睡眠(ノンレム睡眠)が取れない
- 疲れが取れず、慢性的な倦怠感や「やる気が出ない(意欲低下)」状態に陥る
など、この状態が続くと、仕事の生産性やプライベートの充実感を得ることは難しくなりがちになります。
では、この悪循環を断ち切るにはどうしたら良いでしょうか!?
セロトニンを増やす科学的アプローチ
最近、メンタルヘルス対策のキーワードとして注目される「セロトニン」これは「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神の安定、意欲向上、痛みの抑制、そして睡眠に不可欠な物質です。
セロトニンを自然に増やすための科学的アプローチは、以下の2つのバランスです。
- 「太陽光」を浴びる:朝の太陽光を浴びることで、セロトニンの分泌が最も効率よく促されます。
- 「リズム運動」をする:ウォーキング、ジョギング、咀嚼など、一定のリズムを刻む運動がセロトニン神経を活性化させます。
【セロトニンの重要なポイント】
またセロトニンは、日没後に「メラトニン」という睡眠ホルモンに変換されます!
そのため、日中にセロトニンが十分に産生されないと、夜の安眠も難しくなるのは言わずもがなな訳です。
鍵は「腸脳相関(ブレイン・ガット・アクシス)
セロトニンを増やしたいと思っても、その「原料」が無ければ始まりません。セロトニンの原料となるのは、必須アミノ酸である「トリプトファン」です。
トリプトファンは、体内では作れないため、食事から摂取する必要があります。
トリプトファンが豊富な食材
豆腐・味噌・納豆などの大豆食品、乳製品(チーズ、ヨーグルト)、卵、バナナ、ナッツ類など
これらをバランス良く摂ることが大切ですが、さらに重要なのが「腸内環境」です。
セロトニンの約90%は、脳ではなく腸内で産生・貯蔵されています。そのため、腸内環境が乱れていると、トリプトファンは「腸内環境を整える」方に優先的に使われ、セロトニン合成は後回しになると言われています。
これは、脳と腸が密接に影響し合うメカニズム、「腸脳相関(ブレイン・ガット・アクシス)」によるものです。腸内環境を整えることは、すなわちメンタルヘルスの改善に直結する訳です!
今日からできる!やる気を戻すセルフケア:リカバリー習慣

健康な心身を取り戻し、維持するためには、特別なことではなく「当たり前のこと」を習慣化することです。
- お日様の恵みを浴びる習慣:起床後、すぐにカーテンを開け、5〜10分は太陽光を浴びましょう。メラトニン分泌をストップし、セロトニン分泌をスタートさせるスイッチになります。
- リズム運動の習慣:エレベーターではなく階段を使う、一駅分歩く、お昼休みに少し早歩きで散歩するなど、簡単なことからリズム運動を取り入れましょう。
- 腸活習慣:発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルト)やキノコ類など食物繊維を意識的に「よく噛んで」摂取し、腸内環境を整えましょう。
セルフケアなくして「完治・根治」はあり得ません。これらの「リカバリー習慣」を日常生活に取り入れることが、自律神経のディスレギュレーションを改善する鍵となります。
最後に:未来の自分を救うのは“今日の選択”

あなたの身体を治すのは、医師でも、薬でも、我々施術者でもなく、あなた自身の身体(=自己治癒力)なのです。
そして、その自己治癒力を最大限に引き出すのが、日々のあなたの選択(セルフケア)です。無理のし過ぎは禁物ですが、未来の自分のために、今日からできる一歩を踏み出してみませんか?
Q&A:やる気が出ない悩みについて
Q1. 最近やる気が出ないのは、自律神経が原因ですか?
A.あります。アクセルである交感神経機能(ヤル気)と、ブレーキである副交感神経機能(休息)の切り替えが上手く行って居ないと、肝心な時に瞬発力が出ません。
その為には、夜はしっかりと休み、良い睡眠即ち“安眠”を確保する事が自律神経機能のバランス維持には不可欠であると言えます。
Q2. どんな状態のときに「やる気が出にくくなる」の?
A.肉体的疲労が回復出来ない時などの物理的疲労は勿論ですが、最近では“脳疲労”がクローズアップされております。深睡眠(ノンレム睡眠)にて、大脳をしっかりと休息させる事が出来なければ、身体はダルおもとなり、交感神経が過剰に働き過ぎてバランスを崩してしまうのです。そんなお悩みを解決する為に当院は脳疲労に特化した“脳活鍼”があり、働き盛りのビジネスマンやクリエイター職の女性達に大好評を頂いております。
Q3. 自律神経が乱れるとなぜ気持ちまで落ち込む?
A.これは幾つか要因がありますが、簡単に言うと、ホルモンバランスも乱れてしまうからです。
セロトニンの生成がスムーズに行かなかったり、ストレスホルモンである“コルチゾール”が過剰になり、脳機能に良く無い影響を与える為と言うのもあります。自律神経機能の最高中枢とホルモンバランスは同じ所ですので自ずと影響し合うのです。
Q4. 鍼灸は「やる気が出ない」状態に効果がありますか?
A.はっきり言いまして、“あります”やる気が出ない方の殆どは身体も強張り、硬くなっております。以前より常々お伝えしておりますが、
“メンタルはフィジカルをコーティング”しているもの。
ですから、身体のコンディションが軽くなると自ずとメンタルも気持ちも軽くなって行くものなのです。
現に当院に来る方々は、最初はそれこそ強張っていた表情も、自律神経バランス調整の全身施術を行った後は、実に穏やかな表情になられてお帰りになりますので、これを読まれている方も、一度鍼灸施術を是非受けてみてください!
