
心身のコンディションを大きく左右する自律神経。
しかし、「胃を動かす」「血管を広げる」「体温を調整する」といった働きを、自分の意思でコントロールすることはできません。だからこそ、一度乱れてしまうと自律神経を整えるのはとても難しいものです。
そこで近年、メンタルヘルスケアを含めた自律神経バランスを整える方法として注目されているのが、日本の伝統医療「鍼灸」です。
鍼灸は、身体全体の巡りを整え、心身の不調を改善・予防する効果が期待できる施術。今では若い世代から働き盛りまで幅広く注目を集めています。
今回の安眠道鍼療院コラムでは、
- 自律神経の乱れに鍼灸が効果的な理由
- 鍼灸の仕組みと作用
- 効果を実感しやすい施術回数や通院の目安
について詳しく解説していきます。
自律神経の乱れとは?交感神経と副交感神経の役割

血流・内臓の働き・体温・メンタルの状態までコントロールしているのが自律神経です。
この自律神経のバランスが崩れると、心身にさまざまな不調が現れます。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、それぞれ次のような役割を担っています。
交感神経(アクセル役)
- 緊張や興奮を高め、活動をサポートする
- 集中力の維持を助ける
- 乱れると血流悪化、血圧上昇、ストレス過多、不眠などを招く
副交感神経(ブレーキ役)
- 心身をリラックスさせる
- 深い眠りをサポートする
- 体温・血圧・呼吸を安定させる
- 乱れると倦怠感や集中力の低下、モチベーション不足につながる
自律神経が乱れる主な原因
自律神経の乱れは、以下のような生活習慣や環境によって引き起こされます。
- 過度なストレス
- 不規則な生活習慣
- 睡眠不足
- 季節の寒暖差や環境の変化
こうした要因で交感神経・副交感神経の切り替えがうまくいかなくなると、血流や内臓の働きが低下し、心身の不調につながります。
鍼灸は、この乱れた自律神経を調整する有効な手段として注目されています。
自律神経の乱れに鍼灸は本当に効く?仕組みと根拠を解説

現代社会は情報過多・マルチタスク・長時間のデスクワークなど、自律神経に大きな負担をかける環境があふれています。
その結果、「交感神経が過度に優位=過緊張」になり、心身のバランスを崩してしまう人が増えています。
- 長時間のPC作業や座り仕事で、首や肩がガチガチ
- 運動した方が良いと分かっていても疲れて気力が湧かない
- 睡眠が浅く、疲れが取れない
- いつも身体が「ダル重い」
こうした状態は、自律神経バランスが整っていないサインです。
鍼灸が自律神経の乱れに効く理由
鍼灸は、身体のコリや血流の滞りを改善し、フィジカルを整えることでメンタルも安定させる作用があります。
「身体の軽さ=心の軽さ」という考え方のとおり、まず体の不調を和らげることが、自律神経を整える第一歩です。
さらに、当院で行っている低周波鍼通電では、脳内ホルモン(セロトニン・βエンドルフィンなど)の分泌を促し、心身のリラックスを助けます。これにより、自律神経バランスに直接アプローチすることが可能になります。
現代人に多い自律神経の乱れと鍼灸の需要
当院に来院される方の多くは、20〜50代の働き盛り世代。
「脳疲労」「眠りが浅い」「肩や首のコリ」「心が休まらない」といった悩みを抱えています。
こうした症状は、まさに自律神経の乱れに直結する不調。
鍼灸によるケアは、仕事・プライベート・生活のパフォーマンスを高めるための有効な手段として選ばれています。
自律神経を整えるために大切なこと
心身に不調を感じたときは、無理を重ねず一度立ち止まってみましょう。
鍼灸で体を整えつつ、自分の身体の声に耳を傾けることが、自律神経を守り、毎日のパフォーマンスを高めるカギになります。
鍼灸で用いるツボと具体的な治療法

「ツボを押すとすぐに効果があるの?」とよく聞かれますが、ツボは単なる“スイッチ”ではありません。
ただし、自律神経の乱れを整えるのに有効なツボがいくつかあり、ご自身でもセルフケアとして活用できます。
外関(がいかん)
- 場所:手首のシワから指3本分、肘側に上がった中央
- 方法:親指で軽くトントンと刺激。息を「吐く」タイミングに合わせて、1回につき7〜10回程度繰り返す。
- 効果:交感神経の過緊張をやわらげ、自律神経バランスを整えるサポートになる
ポイントは、深呼吸ではなく普段の呼吸に合わせることです。自然なリズムで行うことで、リラックス効果が得やすくなります。
神門(しんもん/耳ツボ)
- 自律神経と深く関わる代表的なツボ
- 当院では「置き鍼」やBFA(Battlefield Acupuncture:戦場鍼)といった特殊な鍼を用いて施術します。
- ご自宅では簡単に「耳もみ」でOK!
耳をもみほぐすことで毛細血管が拡張し、脳・首・顔周りの血流改善につながります。リラックスや気分転換にもおすすめです。
自律神経の乱れに対する鍼灸の施術回数・期間と通院の目安

「自律神経の乱れに鍼灸は何回くらい受ければ良いの?」
「どのくらいの期間、通院すれば効果があるの?」
これは多くの方が気になるポイントです。
一般的な施術回数の目安
鍼灸は保険適用外となる自由診療が多いため、「頻繁に通わないと効果がないのでは…」と不安に思う方も少なくありません。
しかし当院では、約80%以上の方が 月1回(4週間に1度)のメンテナンス鍼灸 で心身のバランスを維持されています。
特に医療従事者や介護・保育など、ハードな環境で働く方の場合は 月2回程度 来院されることもありますが、それでも十分効果を実感いただいています。
鍼灸通院の考え方
大切なのは「短期間にたくさん通う」のではなく、
一度の施術でしっかり身体に刺激を入れ、継続的に自律神経を整えていくことです。
身体のケアばかりに時間を取られてしまっては、仕事や趣味、家族との時間が削られてしまいます。
鍼灸でしっかりとコンディションを整え、仕事もプライベートも全力で楽しめる状態を保つことが理想的です。
ポイント
- 通院の目安は 月1回のメンテナンス鍼灸
- ハードワークの方は 月2回程度 が理想
- 継続的に自律神経を整えることで、生活全体のパフォーマンスが向上
自律神経の乱れに、鍼灸は何回受けるべき?

「自律神経の乱れに鍼灸を受けると、何回で効果が出ますか?」
これは多くの方から寄せられる質問です。
実際のところ、効果の出方には個人差があります。
- 1回の施術で大きな変化を感じる方
- 2〜3回目から徐々に改善を実感する方
と、人によってさまざまです。
効果を感じやすい方の特徴
私の臨床経験から見ると、鍼灸の効果を実感しやすい方にはある共通点があります。
それは 「素直に施術を受け入れる姿勢」 です。
当院では初診時に30分ほどかけて、
- 現在の体調や不調の原因
- 本日の施術内容と期待できる効果
- 今後の通院の目安
などを丁寧にご説明します。
ご理解・ご納得いただいたうえで施術を受けていただくと、脳や身体への刺激がスムーズに入りやすく、効果も高まりやすいのです。
逆に、説明をあまり聞かない方や不信感を強く持ったまま受ける場合は、刺激がうまく伝わらず、効果を感じにくいケースもあります。
術者との相性も大切
鍼灸は“術者との相性”も関わってきます。
「この先生に任せよう」と思える安心感があると、身体もリラックスしやすく、自律神経バランスが整いやすくなります。
ポイント
- 効果が出る回数には個人差がある(1回で変化を感じる人もいれば2〜3回で実感する人も)
- 納得して施術を受けることで効果は出やすくなる
- 術者との信頼関係や相性も大切
- 自律神経の乱れに悩んでいる方は、数回の鍼灸施術を目安に、まずは試してみることをおすすめします。
鍼灸治療の安全性と副作用について

鍼灸は安全?国家資格による安心感
鍼灸を担当する「はり師・きゅう師」は、最低3年間にわたり医学的な基礎を徹底的に学んでいます。
学ぶ内容の多くは現代医学で、解剖学・生理学・病理学・衛生学・神経解剖などを修得したうえで国家資格を取得します。
つまり、身体の構造や機能を理解した上で施術を行うため、鍼灸は安全性の高い医療行為といえます。
一方で、無資格者による整体や民間資格のみの施術ではトラブルのリスクもあるため、鍼灸を受ける際は必ず国家資格を持つ施術者かどうかを確認することをおすすめします。
鍼灸治療に副作用はある?
「鍼灸に副作用はありますか?」という質問もよくいただきます。
結論から言うと、効果があるからこそ副作用の可能性もあるのです。
ただし、正しく施術を受けていれば大きなリスクはほとんどありません。
起こり得る一時的な副作用としては、
- 強い刺激を受けた翌日の倦怠感
- 筋肉が緩みすぎてだるさを感じる
といったケースがあります。これは体が反応しているサインでもあり、多くは自然に改善します。
大切なのは「刺激の塩梅」
鍼灸は「やり過ぎないこと」が大切です。
例えば、当院に通っていた腰痛の患者様が、鍼灸で筋肉が緩んだ直後に整体でさらに強い刺激を受けた結果、ぎっくり腰を繰り返してしまったケースがありました。
その後、鍼灸治療に一本化してからは症状が安定し、月1回のメンテナンスで快適に過ごせるように改善しました。
このように、鍼灸は適切な刺激量で行うことが重要です。
ポイント
- 鍼灸師は国家資格を持ち、安全性が高い
- 副作用はほとんどなく、一時的な倦怠感などに留まる
- 適切な刺激のバランス=“塩梅”が効果と安全のカギ
安心して施術を受けるためには、国家資格を持つ鍼灸院で、自律神経治療に実績のある施術者を選ぶことが大切です。
自律神経の乱れを改善するための日常生活でのポイント
自律神経バランスを整えるために、日常生活でできるセルフケアの中でも特に大切なのが「呼吸」です。
実は多くの方が、作業中に無意識に呼吸を止めていたり、呼吸が浅くなっていることがあります。呼吸が浅くなると交感神経が優位になりすぎ、緊張や疲労が取れにくい状態に陥ってしまいます。
呼吸のポイント
- 集中している時こそ「深く息を吐く」ことを意識する
- 吐く量をしっかり確保し、その後自然に吸う
- 普段の呼吸に合わせて行い、力まず自然に続ける
これにより、過度に高ぶった交感神経を落ち着かせ、副交感神経が働きやすい状態をつくることができます。
前述のツボ「外関」と組み合わせると、より効果的な自律神経セルフケアになります。
おわりに:鍼灸で自律神経を整えて心身をリセット

鍼灸は、自律神経の乱れを改善する方法の中でも効果を実感しやすい伝統医療です。
「痛そう」「少し怖い」と思う方もいますが、国家資格を持つ鍼灸師が行う施術は安全で安心。
まずはお気軽にカウンセリングから始めて、自分に合った自律神経ケアを体験してみてください。
心身を整えることで、日々のパフォーマンスや生活の質が大きく変わるはずです。
参考:安眠道鍼療院 自律神経でお悩みなら
自律神経でお悩みなら | 吉祥寺の自律神経治療専門の安眠道鍼療院|国家資格保有の鍼灸院