幅広い年代の男性・女性が悩むパニック障害は、自律神経のバランスとも深いかかわりがあることをご存知でしたか?
何気ない毎日が不安や恐怖の連続と感じてしまうことの多いパニック障害は、セルフケアが難しく、専門的な治療を受けないと克服できないとイメージすることもあるでしょう。
今回はパニック障害と自律神経それぞれの症状と意外な結び付き、ご自分でも克服できるおすすめのケア方法を解説。
パニック障害と自律神経の関係性を学びながら、明るく笑顔溢れる毎日を取り戻すためのきっかけにしてくださいね。
【目次】
パニック障害と自律神経の症状とそれぞれの関係について
自律神経を整えてパニック障害を克服!セルフケアのポイント
まとめ
パニック障害と自律神経の症状とそれぞれの関係について
パニック障害と自律神経は関係が深く、現代人に顕著に起こるトラブルと考えられています。
ここではパニック障害と自律神経のトラブルにどのような違いがあるのか、それぞれによく見られる症状とふたつの関係性をお伝えしてみたいと思います。
自律神経失調症とパニック症状とは
自律神経とはそもそも、以下の二つから成り、よく目や耳にする自律神経失調症は、このバランスが崩れてしまうことが原因とされています。
- 良質な睡眠やリラクゼーション、安定した消化吸収などの「静」のシチュエーションは副交感神経。
- スポーツや仕事、いわゆる「動」を元気にこなせるのは交感神経。
その主な原因には、
- 気温や湿度、気圧の激しい変化
- 職場や学校、ママ友などを含む対人関係によるもの
- 大切な人との別れなど
- 肩こりや腰痛など痛み・不調が長く続く
などがありますが、これらを見ているとある共通点に気づくかと思います。
それは…”強いストレス“です。
私たちはストレスが無ければ、無気力になり、何も気力が出ないなんてことになるのですが、逆に強いストレスに長期間さらされると、心身に多大なダメージを与えてしまうのです。
またそれにより、「脳の誤作動(思考)」から身体症状として現れているのが”パニック症状”です。
実際に、忙しい毎日を送る現代人に起こりやすいトラブルなのです!
パニック障害とは
そもそもパニック障害とは、
- 動悸や過呼吸、発汗、吐き気等に襲われてしまう「パニック発作」
- 何かを予期した際に過剰な不安に感じてしまう「予期不安」
- 広く開放された場所や人ごみに恐怖を感じる「広場恐怖」
と言う、三大症状を主に発症し、日本人では、3.4%※、約30人に一人罹患すると言われています。
またパニック障害では、”逃げられない状況”をとてつもない恐怖に感じる為、電車やタクシー、美容室、歯科治療などを苦手に感じる事が多く見られます。
また逆に、たまたまその時の体調により、電車や美容室で気分が悪くなり、それがきっかけに「予期不安」が形成されパニックへと発展することも少なくはありません。
そう、この「パニック障害」は、誰にでも起こりうる症状なのです!
パニック障害と自律神経にはこんな関係がある
パニック障害はやはり、”交感神経過緊張”気味の人がなりやすい事が分かっています。
交感神経は「戦い」の神経ですから、心拍や血圧をあげる作用があり、緊張で不安を感じると更に動悸がまして、息苦しくなるのは当然の事なのです。
よく医療ドラマで「アドレナリン○○cc投与!!」っていうシーンを見かけると思うのですが、あれはアドレナリンにより交感神経を刺激して、心拍数をあげようと試みているのですね。
あなたのその”動悸”は「交感神経」の働きでなのです!
自律神経を整えてパニック障害を克服!セルフケアのポイント
パニック障害の大きな原因は、やはり自律神経バランスの乱れ。
それを多忙だからと放置をしてしまって、交感神経と副交感神経が本来の働きを活かせない状態が続くと、先述の様にまさにある日突然、パニック発作に襲われる可能性はゼロではありません。
そんな状況を予防、また改善するために、ここからはセルフケアのポイントをお伝えしてみたいと思います。
自律神経のバランスを整える
自律神経バランスをセルフで調整する方法は、ずばり”呼吸法“です!
皆さんもうご存じの通り、自律神経は自分ではどうもコントロールは出来ませんよね!?
しかし、唯一少しコントロールできるとしたら、
高ぶった過緊張気味の交感神経を「少し緩める」事は可能かも知れません。
それは、”呼吸法”です。深呼吸でも良いですが、ここではまず吐く、
「呼気」に注目しましょう。
吐く6:吸う4の割合でまずは行い、なれてきたら7:3でやってみてください。
呼吸法で心拍は変わりますので、練習してみましょう。
余談ですがこの呼吸法、伝統芸能の「能」の舞台上でも行われていると知り、驚きました。
平常心と集中力を高める効果も期待されるということでしょうね!
パニック発作の予防と回避は!?
それでも、パニック症状になる気がするという方へのアドバイスです。
実はパニック発作は脳生理学的にも、最長90分以上は続かないと言われています。
つまり、必ず終わりは来るのです。当院は吉祥寺ですが、電車が苦手な方には大体どこの駅位になると少し落ち着くという距離が必ず皆さんあります。ある人は「中野」であったり、「新宿」を過ぎてすいて来ると落ち着くなど、小さなゴールがありますので、ゴール=安心になり少しずつ落ち着く事が出来ていきます。
また、これも皆さんに行って貰っているのですが、わざとメールやLINEの返信を電車内でやって貰うのです。
一見気分が悪くなると思われるかも知れませんが、そもそもパニック発作は「身体に問題」がある訳では無く「思考」に問題がある訳なので、ほかの事に集中すれば良く、返信の文面を考えることより、思考をそちらへ変えて行くのです。
意外と2~3個返信していると、3つ4つ位はゆうに駅を過ぎているもので、それを成功体験として「脳へ上書き」するのです。
この前、うちのクライアントさんは、文面を考えていて一つ乗り過ごしたと笑い話を聞かせてくれました。
また別の方は、「あれ!?鍵どうしたっけ??」とバックの中を焦って探しているうちに目的地手前まで難なく行ったそうです。
実は、症状克服にはこういった「小さな成功体験」がとても大切なのです!
専門機関での診察や治療を受ける
当院は自律神経機能専門の鍼灸治療院ですが、お問い合わせが後を絶ちません。
それだけ、”自律神経系”でお悩みの方が多いということでしょう。
そのような問題を解決するのはやはり「プロフェッショナル」のところへ行くことです。
我々のように自律神経系を得意としている治療院に行くのも良いですし、メンタルクリニックに先にかかるのも勿論良いことです。
早期にこしたことはありません。
こじらせて休職が長くなるとそれだけ復帰にも時間がかかりますので、何事も早期受診・早期治療は肝心です。
また、パニック障害やウツなどのメンタルヘルスには
“認知行動療法”と云う心理療法がとても効果的と注目されています。
ごく簡単にいうと、考えかたの癖の修正をしていくのです。
当院では、鍼灸師でもあり認知行動療法の専門の先生とタッグを組み、心身両方からのアプローチをしているのも特徴です。
毎回問診をして、必要に応じて随時ご紹介しており早期改善を目指しております。
まとめ
パニック障害は自律神経の乱れと深いかかわりがあり、先述のように誰にでも起こり得る可能性があるのです。
「恥ずかしい、情けない…」と自分を責める事は絶対にしてはいけません!あたなの最高最大のサポーターは紛れもなく「あなた」なのです。
~不安の多さは疲労の多さ、気が疲れた時には”気休め”、身体が疲れた時には”骨休め”、そしてお腹が疲れたら”箸休め”~
こんな当たり前の事を忘れてはいませんか!?
分かってはいるがそんな暇は無いと思うでしょう?しかし、プロフェッショナルである私たちは、そのささいな事をせずに、無理して何か月も体調を崩して、休職して苦しんでいるかた達を毎日のように診ております。
(鍼灸治療は、まだまだ最後の頼みみたいな位置づけなのが不本意ですが)
皆さんが、口をそろえて言うことは
「無理をし過ぎました。ストレスをため込み過ぎました」
なのですから。
・参考資料
https://www.mentalclinic.com/disease/p6123/
(あらたまこころのクリニック 自律神経失調症の正体 パニック障害が関係していることもある)
※ 標準精神医学第6版 医学書院