
皆さんこんにちは。季節は移ろい、朝晩の冷え込みに首や肩のこわばり、なんとなく気分が乗らない…そんな日が増えていませんか?
更年期の不調は「ホルモンバランスの乱れ」がよく知られていますが、実は自律神経の乱れとも深く結びついています。イライラや落ち込みといったメンタル面、倦怠感・頭痛・首肩コリ・ほてり・動悸のような身体症状――この“幅広さ”こそ、自律神経の影響が色濃いサインです。
本稿の「安眠道鍼療院 自律神経コラム」では、更年期と自律神経の関係性、不調が起こる仕組み、そして今日からできる整え方をやさしく解説していきます。
更年期とは?—自律神経の乱れが関係する理由

更年期の基本
更年期は個人差があるものの、概ね40代半ば〜50代半ばにかけて現れやすい、心身の不調が増える時期。背景には女性ホルモン(エストロゲン)低下と、それに伴うホルモンバランスの乱れがあります。
加齢に加えて、ストレス・不規則な生活・睡眠不足・気温差などの外的要因が重なると、ホルモン変動への“揺さぶり”が強まり、症状が一気に表に出やすくなります。
更年期と自律神経の関係性
ポイントは脳の視床下部。
視床下部は「自律神経のバランス(交感神経/副交感神経)」と「ホルモン分泌」の両方を司る司令塔です。
つまり――
ホルモンバランスの乱れ=自律神経バランスの乱れに波及しやすい
というのが、更年期で“こころとからだ”に同時多発的な不調が起こる理由。エストロゲン低下→視床下部が揺さぶられる→自律神経が崩れる、という順でほてり(ホットフラッシュ)・冷え・動悸・めまい・頭痛・睡眠の質低下・不安感などが連鎖します。
更年期×自律神経で起こりやすい症状

メンタル面(こころ)
- イライラ、怒りっぽさ、焦燥感
- 不安感、落ち込み、涙もろさ
- 集中力・判断力の低下、やる気が出ない
- 眠れない/朝起きられない など
フィジカル面(からだ)
- ほてり・発汗、のぼせ、寒暖差への過敏
- 頭痛、首肩コリ、腰の重だるさ、関節のこわばり
- 動悸・めまい、息切れ、胸の圧迫感
- 手足の冷え・むくみ、しびれ感
- 胃腸の不調(食欲低下・便秘や下痢)、肌荒れ など
とくに交感神経優位が続くと、血管収縮や筋緊張が強まり、頭痛・肩こり・睡眠障害が悪化しやすくなります。逆に副交感神経優位すぎても倦怠感ややる気低下が長引くことがあります。大切なのは**“振り幅を小さくし、ほどよいバランスに戻す”**ことです。
仕組みをもう一歩:視床下部と自律神経の“揺さぶり”
- 視床下部:体温・睡眠・食欲・情動・ホルモン分泌を統合調整
- ホルモン変動(エストロゲン低下):視床下部の感受性が上がり“過敏化”
- 自律神経の乱れ:交感神経過剰→心拍・血圧上昇、筋緊張、浅い呼吸/副交感神経低下→回復が進まない
- 症状化:ホットフラッシュ、不眠、気分変調、全身倦怠 …という“ドミノ倒し”
この図式を知っておくと、「私だけがおかしいわけじゃない」と理解でき、不安そのものを和らげる助けになります。
更年期を健やかに過ごすための整え方(実践編)

基本の三本柱:規則正しい生活・ストレスケア・良質な睡眠
ここに「栄養」と「軽い運動」「体温コントロール」を足していきます。
1. 生活リズムを整える
- 起床・就寝の固定:平日も休日も±1時間以内を目標に
- 朝いちの採光:カーテンを開け、光で体内時計をリセット
- 3食のリズム:欠食を避け、血糖の乱高下を防ぐ(情動安定に直結)
2. ストレスケア(交感神経の過覚醒を下げる)
- “小休止の習慣化”:1時間作業→3分伸び・深呼吸
- 呼吸法:4-7-8呼吸、腹式呼吸、鼻呼吸を意識
- “心地よいこと”の予定化:音楽・自然散歩・アロマ・日記など、日常に微小なご褒美を
3. 良質な睡眠(回復の土台)
- 就寝90分前の入浴(38〜40℃・10〜15分):深部体温の下降で入眠を促す
- 寝室環境:照明は暖色・デバイスは就寝1時間前にオフ
- カフェイン・アルコール控え:午後はカフェイン減、就寝前の飲酒は睡眠質を落とす
4. 栄養で自律神経をサポート
- 鉄・マグネシウム:赤身肉、魚介、ナッツ、海藻、大豆製品
- 鉄は酸素運搬、マグネシウムは神経伝達安定に寄与
- たんぱく質:1食あたり手のひら1枚目安で筋量・代謝維持
- 食物繊維と発酵食:腸内環境を整え、情動安定にも好影響
5. 大豆イソフラボンとエクオール
エクオールは、大豆イソフラボンから腸内細菌がつくる代謝物で、エストロゲン様作用が注目されています。
ただし日本人はエクオール産生者が半数未満とも言われ、個人差が大きい領域。サプリ利用を考える際は、まず医療機関へ相談し、自分に合うかを確かめるのがおすすめです(自己判断の過量摂取は避けましょう)。
6. 軽い運動と体温コントロール
- ウォーキング・ヨガ・ストレッチ:週合計150分程度を無理なく
- 寒暖差対策:重ね着・首元保温・腹部温めで自律神経の負担減
- 水分・電解質:ホットフラッシュや発汗時は少量こまめに
鍼灸という選択肢:自律神経と血流に同時アプローチ

鍼灸は、からだの緊張をほどいて交感神経過多をクールダウンし、副交感神経を引き上げることを狙います。加えて血流改善により、頭痛・首肩コリ・冷え・睡眠の質に良い変化が出やすいのが特長です。
自宅ケアでは、三陰交(さんいんこう)まわりのやさしい温熱(市販のお灸や温罨法)が冷え・むくみ・イライラの緩和に一役買うことも。
※火傷に注意し、皮膚が弱い方・疾患のある方は専門家にご相談ください。
よくある質問(Q&A)
Q1. なぜ更年期は自律神経が乱れやすいの?
A. エストロゲン低下により、ホルモンと自律神経の“司令塔”である視床下部が揺さぶられるため。結果として交感神経/副交感神経の均衡が崩れ、全身の不調が多発します。
Q2. 自律神経の乱れによる代表的な症状は?
A. 交感神経過多:イライラ、動悸、頭痛、コリ、浅い呼吸、不眠。
副交感神経過多:強い倦怠、やる気低下、だるさ。
どちらかに偏るほど、体調の波が大きくなります。
Q3. 日常で今すぐできることは?
A. 「起床・就寝の固定/深呼吸/就寝前の入浴/光を浴びる朝」の4点をまず1週間続けてみましょう。加えて鉄・マグネシウムを意識し、カフェインとアルコールは控えめに。
Q4. 受診の目安は?
A. 動悸・息切れ・激しい頭痛、抑うつの強まり、生活に支障が出る不眠や不安が続く場合は婦人科受診を。治療選択肢(ホルモン療法、漢方、心理的サポート等)を専門家と相談すると安心です。
最後に:更年期は“我慢の季節”ではありません

更年期の不調は「気のせい」でも「弱さ」でもありません。ホルモンと自律神経というからだの要に変化が起きている、きわめて自然なプロセスです。
だからこそ、仕組みを知り、できる対策を重ねることで、つらさの“振れ幅”は確実に小さくできます。
安眠道鍼療院にも、頭痛や不眠、首肩コリで来院された方が、施術と生活の見直しを通じて「そういえばほてりが減った」「眠りが深くなった」「気分の波が穏やかになった」とお話しくださるケースが少なくありません。
一人で抱え込まず、専門家に相談しながら、自分のペースで整えていきましょう。あなたの毎日に、もう一度“ほどよい調子”を。
参考:安眠道鍼療院 自律神経コラム:更年期更年期 | 吉祥寺の自律神経治療専門の安眠道鍼療院|国家資格保有の鍼灸院
参考: Doctors Me(ドクターズミー)|これからを生きる女性に大豆がオススメ!? 大豆のパワーの源「エクオール」とは?これからを生きる女性に大豆がオススメ!? 大豆のパワーの源「エクオール」とは? Doctors Me(ドクターズミー)
参考:メディカルドック|更年期対策のための食事・栄養素は? 避けるべき食品や生活習慣も【管理栄養士解説】更年期対策のための食事・栄養素は? 避けるべき食品や生活習慣も【管理栄養士解説】 | メディカルドック
